『吉田知子選集』について、はがき・メールでお寄せいただいた感想を紹介します。

 

 大変面白かったです。どの話もよかったのですが、「日常的夫婦」が心に残りました。バカ息子の残していった、薬で愉いに死のうとする老夫婦なんて、すごいなー。そんな話を、生み出すなんて、すごいです。なにげない日常に狂気が潜んでいるけど、笑えるような、怖いような…。

 次の『そら』も買っています。楽しみです。

 

『吉田知子選集Ⅱ 日常的隣人』

(北海道・Sさん)

 

 

 例えば町田康と吉田知子の書く小説の世界観は似ているところがあるが、町田康のそれは、ダンテの「神曲」とか、エイモス・チュツオーラの「やし酒飲み」なんかにインスパイアされた観があるが、吉田知子の作品は、まったく独自の世界を築いていて、それが読む者の心にぐさぐさ突き刺さるところに、えもいわれぬ快感があります。

 ひとつだけ苦言。片手で本を押さえながら読んでいると、本が閉じようとする力が強く、けっこう疲れます。

 

『吉田知子選集Ⅲ そら』
(愛知県・Hさん)

 

 

 選集Ⅲは各々に恐しくて、夜は読まないようにして遠くに本を離しておきました。それでも体調さわやかな昼間、怖い物見たさで読み進み、土俗的なものが立ちこめる暮らしの中の人間ののっぴきならぬ局面に立ち合いました。凄まじい……。

 「そら」は小学校に入ったばかりの少女の視点で大人の都合ではじき飛ばされている自分の周りをよく見ていると、思いました。

 

『吉田知子選集Ⅲ そら』
(広島県・Yさん)

 

 

 町田氏の「問題」には落第点しか取れないと思いました。小説でない現実の生活も妄想と正気との境界ははっきりしていないような気がします。ただ、戦争体験を共にした人物と何十年経っても近くに住んでいる不幸は深い所で逃れられない"つながり"を育み続けている所にあると思いました。「お供え」「常寒山」共にさり気なく怖い所に連れてゆかれました。

 

『吉田知子選集Ⅰ 脳天壊了』
(広島県・Yさん)

 

 

 読んで“字で描くマンガ”のつもりというのが驚くほど腑に落ちた。猟奇的なものを感じるものもあれば、落語のようなおかしさを感じるものもあったりしてあっという間に読んでしまった。日常的―とはかいてありつつも、話は突きぬけて、可笑しいもの・狂っているもので溢れていて、非日常の方があっているのではと思うほど。でも、その非日常感が不思議と逆に実際の生活に近くかんじたりしてその真逆の感覚がなんとも面白く、町田康氏の小説とちかいものを感じました。早くも選集Ⅲの刊行が待ち遠しいです。町田康氏の問いを考えるだけでいろいろ頭の中が楽しくて、いまだ答えをだしてしまうのがもったいなくて、だしていません。まだまだ楽しみたいので、ださないつもりです。

『吉田知子選集Ⅱ 日常的隣人』
(新潟県・Wさん)

 

 

 つる子の子供の頃からの人生のつらさが感じられ、切なくなった。ひとすじの光のようなこの小さな幸せが、実は今の世の、『幸せ』と呼ばれていることがらよりも、ずっと価値のあるもののように感じられた。

 人間の心の小さな動きを味わえたこの時代、周りがうるさすぎて心の声が聞こえなくなっているような現代よりもずっと、もしかすると日本人は幸せだったのかもしれないと、ふと考えさせられる作品だった。

『吉田知子選集Ⅱ 日常的隣人』
(神奈川県・Sさん)

 

 

 まず「すごい!!」の一言。町田康先生の「問い」には、頭が悪くて答えられませんが、本当に脳の中で珍しいことが起った。

まさに「脳天壊了」な感じだ。美しい人、物、なにもない世界。背の曲った、ひくつなじいさんが主人公なのに。汚れたエロス、作者がよく使っている「華やいだ」錯覚と迷妄でくらくらした。

まっとうな「死体」というのも、心にきた。

『吉田知子選集Ⅰ 脳天壊了』

(北海道・Sさん)

 

 

 「読んでいる間中面白い」吉田作品の味をかみしめていました。

吉岡実、デビッド・リンチ、先月見たポルトガル映画「熱波」、いろいろイメージが飛び、数年ぶりに読む「お供え」が楽しみです。

『吉田知子選集Ⅰ 脳天壊了』

(神奈川県・Sさん)

 

 

 吉田知子さんの小説はどれも、わたしは面白くて仕方ないのですが、その面白さがどこに起因しているのか、つかみどころがありません。

全編に漂う「不穏な空気」にひかれるのかもしれません。

「のうてんふぁいら」という言葉、何十年ぶりに出会ったことか? 真夏の炎天下、無帽で飛びだしていこうとすると、母親に「のうてんふぁいらになるでェ」と、よくたしなめられたものです。

『吉田知子選集Ⅰ 脳天壊了』

(兵庫県・Mさん)

 

 

 短編が好きだったのだ、と色々手を出し、吉田知子さんにたどりつきました。

今の音楽・映画、日常生活。説明過多の中で、ああ、小説ってこうだったと思い出しました。

夢の中で、その角を曲がればつくはずの場所と違う景色が現れ、来た道を振り返ると見知らぬ道が続くような、表と裏がひっくり返り、いつもの道に知らぬまに現れたもう一つの道のようです。

『吉田知子選集Ⅰ 脳天壊了』

(神奈川県・Kさん)